医療法人 東永内科リウマチ科

大阪市東淀川区の 内科,リウマチ科(リウマチ,膠原病,骨粗鬆症)
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...MTX関連リンパ増殖性疾患について聴講して参りました。

...MTX関連リンパ増殖性疾患について聴講して参りました。

2月4日は私を始め症例検討3演題の口演発表後は、埼玉医療センターの得平先生に『MTX関連リンパ増殖性疾患』について御講演頂きました。生物学製剤が登場する以前にメソトレキセレート(MTX)が登場し、リウマチ医療に大きな恩恵をもたらしました。一方で感染症や臓器障害、間質性肺炎と言った我々リウマチ専門医でも予測予防困難な合併症が少なからず発生します。その中で現在問題になっているのがMTX関連リンパ増殖性疾患であります。

リンパ節は全身に約600個あり、ウイルスや細菌、異物を捕捉する門番の役割をします。生理的に腫脹する場合は、細菌 ウイルス 真菌等の感染症が殆どで、一方悪性のガンが広がる場合や薬剤の影響にて病的に腫れるのがリンパ増殖性疾患と言われております。

シェ―グレン症候群や関節リウマチなどの慢性炎症がベースにあると悪性リンパ腫の発症率は高くなると言われており、悪性リンパ腫の発生率は一般人口と比較してシェ―グレン症候群では3~8倍、関節リウマチでは2~4倍高いと言われています。そこにMTXが体内に入るとより免疫異常が感作され悪性リンパ腫が起こりうる考えられています。

私も今こそ関節リウマチの専門医となりましたが、大学病院勤務時代は血液膠原病内科であった為、研修医時代から数多くの悪性リンパ腫、白血病の治療にあたって参りました。しかし通常の悪性リンパ腫に比べてMTX関連のリンパ腫は未だ謎が多く、血液専門医や病理学の専門医を悩ますものとなっているのです。もっとも不可思議な事はMTXが誘因で相当悪性度の高いリンパ癌細胞らしき物が出現するのですが、多くの通常タイプ(消退群)ではMTXを中止する事で自然に消えて治ってしまうのです。

 ホジキンリンパ腫

もう一つのタイプとしてMTX関連バーキットリンパ腫では、増殖が大変激しく死に至る怖いケースもあります。バーキットタイプはEBウイルスとの関連性が高く、一般人と比較して50倍EBV陽性率が高く血清のEBウイルス量が関与??していると言われています。元々関節リウマチ患者はEBウイルス対する免疫異常があるとの説も古くから提唱されています。

  殆どの人が幼少期に感染するEBウイルス

最後にもう一つは自然に消失し安心と思いきや、別の抗リウマチ薬(免疫抑制剤)を使用すると又再発するMTX関連ホジキンリンパ腫があり、通常のホジキンリンパ腫は抗がん剤に良く反応し大変予後良好ですが、MTX関連ホジキンリンパ腫は中々抗ガン剤が効かず治療に難渋する事が多いとの事。これらをまとめますと・・・

①MTXを止めると消える。中止後は再燃せず自然治癒。
 ➡消退群 
全体の80% 一番安心タイプ

②MTXを止めても増殖。化学療法が必要で時に重症化。
 ➡残存群 
全体の10% バーキットタイプに注意

③MTXを止めると一旦消える。免疫治療でまた出てくる。
 ➡再発再燃群 
全体の10% 1年以内に半分は再発する 

MTX以外の免疫抑制剤ではリンパ腫の出現は殆ど無く、悪性リンパ腫に対して300mgのMTXを使用して治療するのに、リウマチの患者さんにMTXを4~16mg使用すると悪性リンパ腫になるのも誠に不可思議なところです。MTX関連リンパ増殖性疾患の前駆症状として血液のCRPやLDH、可溶性IL-2受容体の上昇があり、通常のリンパ腫では出現しない所➡口蓋、口腔粘膜、肺、関節内等に出現すると言われています。危険因子として意外と 投与量 投与期間 性別は関係無く、リスク因子で高いものでは高齢(70代以上)でCRP、LDHの高値、可溶性IL-2R 3000以上。また良性群はMTX中止後にリンパ球数が増加し、残存群(難治性群)はMTX中止後もリンパ球は変動しないと言われています。

MTXを中止しますと殆どの方はリウマチ症状が悪化します。MTXを中止してリウマチの再燃した場合最も安全なものはステロイドホルモン剤であり(これも飲み続けると色々と副作用が起こり得ますが…(-_-メ))、その他タクロリムス、ブシラミン、サラゾスルファピリジン等が比較的安全かと言われていますが、再発しない確実に安心な薬剤は無く、薬の種類よりも『バーキットタイプ』や『ホジキンタイプ』といった元々リンパ腫の種類に因って再発予後が決まるとの事。

臨床的注意ポイントとして、発熱や寝汗、呼吸器症状 リンパ節腫脹の状態を小まめに把握(当院では疑い例に積極的頚部エコー検査を行っています。)と定期的に血液検査としてLDH CRP 可溶性IL-2受容体値を定量する事が重要との事。最後にアメリカや欧州ではMTX-LPDは全く注目されておらず(@_@)、日本人に大変多い疾患との事。

  
MTX使用により、徐々に患者数が増加しているものの(発症頻度はMTX内服患者の100~200人に1人?(◎_◎;))、謎がまだまだ多く、今後のこれらのリンパ増殖性疾患に関して日本血液学会、日本リウマチ学会、日本病理学会の3学会が合同でMTX-LPDの病理組織基準の標準化を提唱する予定との事。

 
20011年から5年ぶりに改訂されたMTXガイドライン 当院で処方前に必ずお渡しするMTXのパンフレット

非常に内容の充実した講演内容で、終了後の質疑応答も大変多く、私も当院での経験した1例の患者さんについて相談ができました(^_^)/。安易に説明もなくMTXを処方するリウマチ非専門医の先生がしばしばおられますが、やはり頻度の高い合併疾患として肝に銘じて処方と説明、細かなリウマチ患者さんの診療のケアが重要と思われました。

現状はMTXのリンパ腫の発症率よりもリウマチ治療の奏功率が圧倒的に高く、MTX関連のLPDが怖いからと言ってMTXを全く使用せずリウマチその物を悪化させては本末転倒であり、安全面を配慮し危険性を熟知 予見して治療効果を最大限に引き出すのが我々々リウマチ専門医であると考えます。

得平道英先生、大変貴重なる御講演ありがとうございました<m(_ _)m>。明日の診療に早速役立てます(^_^)/。

2017-02-10 23:41:00

講習会・勉強会・資格認定   |  コメント(0)

 

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