医療法人 東永内科リウマチ科

大阪市東淀川区の 内科,リウマチ科(リウマチ,膠原病,骨粗鬆症)
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...第7回 淀川リウマチセミナーにて講演して参りました(前編)。

...第7回 淀川リウマチセミナーにて講演して参りました(前編)。

7月20日に淀川キリスト教病院主催の『第7回 淀川リウマチセミナー』での講演オファーを頂き『内科クリニックに於ける関節リウマチ患者の骨粗鬆症診療 ~診断から薬剤選択の位置付け~』と題しお話して参りました。

今回は20名程の会でリウマチ財団の専門ナースや薬剤師の先生方も御参加されているとの事でした。関節リウマチは炎症性疾患でも疾患活動性が高い程TNFαやIL-6といった免疫サイトカインが大量に放出され、破骨細胞の増殖 活性化を促し局所だけでなく全身の骨粗鬆症を引き起こす疾患である事をお話致しました。
  
よって一般人と比較し骨粗しょう症の合併率が高く、1.5~2.4倍骨折し易いとされています。又 生物学製剤の登場と共に関節リウマチの治療は大革新を遂げ、骨破壊 関節破壊 機能障害の進行を抑止する事が可能となりました。しか~し!治療の大革新の恩恵を受けながら10年間で関節リウマチ患者さんの骨粗鬆症骨折が全く減っていない(◎_◎;)との事。
  
実際臨床の現場に於いても高齢発症のリウマチ性疾患の患者さんが増加しており、いざ治療開始!の時点で骨粗鬆症が進行している所謂『いつの間にか骨折』が多く存在(◎_◎;)し、特にステロイド剤を使用する時は2014年に策定されたステロイド骨粗鬆症ガイドラインを遵守し速やかに予防治療が必要であると御話しました。ステロイド投与後数カ月(最近の報告では数週間で)で骨微細構造が破綻するとされ、HR-pqCTを使用すると如何にステロイドが骨架橋構造に影響を及ぼすか(パサパサ状態(◎_◎;))が良く解ります。
   
『ステロイド骨粗鬆症』の病態としてステロイド投与⇒骨芽細胞のアポトーシス(細胞死)亢進➡骨形成低下➡RANKL産生亢進 OPG産生低下➡骨形成細胞の機能低下から間接的に…破骨細胞の分化増殖亢進➡骨吸収促進となりますが、ステロイド骨粗鬆症の本態は骨芽細胞アポトーシスなのに何故?骨吸収抑制剤であるアレンドロネートに効果があるのか?作用機序として本来ビスフォスフォネート製剤が有する破骨細胞へのアポトーシス亢進作用だけでなく、ステロイド投与下での骨芽細胞のアポトーシスの抑制効果も有する事が解ってきました。
  
原発性骨粗鬆症には抜群に効果のあるビタミンD製剤エルデカルシトールも、通常の骨粗鬆症と関節リウマチ合併骨粗鬆症の病態が異なる事とエビデンスが十分確立されてない事からステロイド骨粗鬆症治療薬しては推奨度Cと低く、アレンドロネートと負けない程 腰椎骨密度と大腿骨々密度の増加が期待できるイバンドロネートも推奨度がBに留まる状態です。腎不全等でビスフォス剤が服用できない時に使用できるテリパラチドも毎日投与する遺伝子組み換えテリパラチドは推奨度Bですが毎週投与のテリパラチド酢酸塩はエビデンスの不足から推奨度Cとランクが低い状態です。
  
当院での原発性骨粗鬆症治療薬に於ける超ロングクローザーの大魔神デノスマブステロイド骨粗鬆症治療に於いてはランクがCであります。一方で関節リウマチの本態であります骨ビラン 軟骨破壊の抑止効果が証明され抗リウマチ薬 生物学製剤と併用する事で骨破壊が抑止できた論文DRIVE試験を含めて紹介をしました。腰椎 大腿骨の骨密度を増やすだけでなく骨破壊 軟骨破壊まで抑止してくれるデノスマブは骨粗鬆症合併 高齢関節リウマチ患者さんには願ったり叶ったりのお薬でありますが、高齢者に合併し易い中等症以上の腎不全例に使用できるか?が問題となります。
  
大腿骨の骨密度の増加効果有するビスフォスフォネート製剤は腎臓の濾過率を示すe-GFRが35未満ですと低分子化合物である為 体内に蓄積➡腎臓から薬剤の排泄が停滞➡腎不全のさらなる悪化がお起こり使用できません。そこで上述の腎障害を来たさない遺伝子組み換えの副甲状腺ホルモン剤のテリパラチドか、肝排泄がメインのエルデカルシトール αカシドールが選択肢となりますが…残念ながら両薬剤とも大腿骨の骨密度は増加せず、前回お話した通りテリパラチドに於いては骨強度は低下しないものの皮質骨(大腿骨 前腕骨)が減少(-_-メ)してしまいます。
  
抗体製剤であるデノスマブは分子量が大きい事から臓器には蓄積せず、腎不全合併関節リウマチ患者さんに生物学製剤が使用できるのと同様にデノスマブそのものは腎機能を悪化させる事はありません。しかし、腎不全患者さんは①尿中のリン排泄が低下しており➡血液中のリン濃度➡血中Caとリンの結合➡血管壁へCa+リンの結合体が沈着➡動脈硬化+低Ca血症状態に…腎不全患者さんは腎機能の低下からビタミンDを活性させる力が低下➡ビタミンD活性低下に因る消化管からのCa吸収の低下➡血液へのCaの流入量低下➡低Ca血症状態に…
 
①②からの低Ca血症状態であっても…実際血液検査ではCa値が正常である事が殆どです…が…見かけ涼しい顔(^_^;)をして血清Ca濃度を正常に保っているだけで…実は『骨銀行から多くのCaと言うお金を借入』し相当な借金状態に(-_-メ))…ここでいきなりデノスマブをドカ~ン!と使用してしまうと骨銀行からのお金(Ca)の送金が急激に停止➡骨から血液へCaの動員が瞬時にシャットアウト➡一気に超低Ca血症を呈し、重症の場合(経営破綻し倒産してしまう場合)は血液のCa濃度を調整する生体機構が破綻し(◎_◎;)、不可逆的な恐ろしい低Ca血症を引き起こす危険性があります。

続きは後編へ・・・

2019-08-02 00:12:00

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