医療法人 東永内科リウマチ科

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慢性疼痛と線維筋痛症のお話


何故治る傷の痛みが治らず長引き慢性化するのでしょうか?レントゲンやMRI検査等の画像検査や、血液検査に異常が無いのに何故痛み強く、又続くのでしょうか?イラスト交えて解説致します。

(参考文献 日本ペインクリニック学会 神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 日本線維筋痛症学会診療ガイドライン
kavoussi,R.Neuropsychopharmacol 16s128,2006 Tammimäki A,Pharmacogenet Genomics. 2012 Sep;22(9):673-9 Mutlu B, Rheumatol Int. 2013 Mar;33(3):649-55 May 2Ghazan-Shahi S, Clin Rheumatol. 2012 Aug;31(8):1177-81)

 

慢性疼痛のしくみ

慢性疼痛とは? 慢性疼痛とは『実質的、潜在的な組織損傷に結びつく不快な感覚、情動体験による痛み』と国際疼痛学会提唱しています。『痛み』そのものは体にとって有害な現象を伝える大切な生理的なシステムなのですが・・・。

脳が感じる中枢性疼痛は、針を刺したり、熱刺激を加えると脳の前帯状回(辺縁系の前方)の神経が活性化し、瞬間的な疼痛感覚が出現します。

慢性疼痛のしくみ

痛みを感じるからこそ、瞬間的に有害な事象から退避する事が出来るのです。火傷したり、蜂に刺されたりする時の痛み、退避行動がその典型例です。

慢性疼痛のしくみ

一方で身体にとって衝撃的な痛みや、恐怖を感じる痛みは、情動(心理的要因)により強く感化され、過去の辛い記憶や、痛みの記憶が疼痛を増悪させると言われています。痛みが複雑化、慢性化すると、過去の情動記憶が存在する紡錘状回(脳の後方)が活性化し、長い疼痛感覚が出現すると言われています。

慢性疼痛のしくみ

また長期に渡る環境的ストレス、心理的ストレスに対する適応が難しくなると、脳内セロトニン、ドーパミンが減少し、紡錘状回の情動記憶、情動体験が掘り起こされ、有害な痛みで無いのに、複雑な径路を経て慢性疼痛が出現するとも言われています。(ドーパミンが代謝されると疼痛中和物質であるエンドルフィンに合成されセロトニンは疼痛に対する不安感を消失させます。

慢性疼痛のしくみ

脊髄神経においても疼痛抑制系が働き、セロトニンとノルアドレナリン(ドーパミンの代謝産物)が痛みを調整しますが、慢性ストレス 情動記憶 抑鬱不安感に加え、骨や脊髄神経、筋肉の機能障害により、セロトニン、ドーパミンの減少し疼痛が出現すると言われています。末梢、末端神経においても、環境的ストレス、心理的ストレスにて神経細胞が興奮し、神経細胞から疼痛物質が大量に放散され、痛みがより強く、より広く、より長く出現すると言われています。

 

説明のつかない慢性化する疼痛の原因とは?

これらの痛み、病態は画像や血液検査で判明せず、痛む場所が移動する、解剖学的、生理学的に疼痛が説明できないとされ、医療機関に受診しても原因不明と診断されます。これらの痛みは上述の瞬間的な疼痛感覚を司る、脳の前帯状回(辺縁系の前方)は活性化せず、情動記憶が存在する紡錘状回(脳の後方)が活性化し、長い疼痛を引き起こすと言われています。

説明のつかない慢性化する疼痛の原因とは?

帯状疱疹後の神経痛患者さんでも、神経解剖的に説明のつかない、疼痛範囲と関係の無い上下への拡散反対側の移動がしばしば見られ、疼痛が慢性化することがあります。

 

何故関係ない所が痛むのでしょうか?

極最近の神経疼痛学の論文でマウスの実験において、片方の足の神経を太い針で損傷させ、痛みのストレス下にて長期飼育すると、脳からのストレス物質の過剰放出に因り、針で損傷している反対側の神経細胞が崩壊し、広範囲に疼痛を引き起こす事が証明されました。

何故関係ない所が痛むのでしょうか?

また、このネズミに抗うつ薬早い段階で与えると反対側の神経損傷が軽微で済むとも報告されています。人間のように高次機能を持たない動物でも『痛み』という恐怖、不安、情動的ストレスを感じており、抗うつ薬を用いることで、間接的に神経損傷や疼痛改善に繋がる事も証明されました。

人間も同様に説明のつかない疼痛の病態は、基礎疾患や、罹病期間に因って異なりますが、長期に疼痛に曝されると、心因的ストレス、情動的ストレスにより情動記憶中枢が活性化⇒慢性疼痛の原因となります。

受診する医療機関によって『痛みの原因がわからない。』、『本当に痛いの?痛いはずなんか無いんだけどな~。』、『血液検査も画像検査も異常ないから精神科に行きなさい。』こういった不用意な医療者の言葉で、不安や恐怖、怒り、破局的無力感が患者さんの疼痛をさらに増悪させ、過去の疼痛の情動体験を引き出している可能性も指摘されています。

何故関係ない所が痛むのでしょうか?

原因不明の全身痛を来す線維筋痛症と言う病気が最近話題になっていますが、どんな病気でしょうか?

線維筋痛症 は関節、筋肉、腱など身体の広範な部位に慢性の「痛み」と「こわばり」を主症状とします。身体の明確な部位に圧痛を認める以外、診察所見や、一般的な血液検査、画像検査に異常を認めません。痛みの治療に抵抗性であり、強い疲労・倦怠感、眼や口の乾燥感、不眠や抑うつ気分など多彩な身体的愁訴がみられ、中年以降の女性に好発する原因不明の病気です。

当初はリウマチ膠原病と言われていましたが、現在は否定的な意見がお多く見られています。
診断は上記の病状に、下記圧痛点が存在すれば線維筋痛症の診断となります。

何故関係ない所が痛むのでしょうか?

しかし、上述の帯状疱疹後の神経痛患者さんが、神経解剖的に説明のつかない、病変部位と関係無い上下反対側に疼痛が拡散し慢性化しても線維筋痛症になってしまいます・・・。慢性疼痛の患者さんはしばしば全身の圧痛をも認めますが、慢性疼痛と線維筋痛症との違いはあるのでしょうか?

 

慢性疼痛と線維筋痛症との違いとは?

線維筋痛症と慢性疼痛の概念の違いとは?・・・解剖学的圧痛点に加え、微熱、疲労感、発汗、動悸、息切れ、体重の変動、顎関節症、生理不順、間質性ぼうこう炎、蕁麻疹、湿疹、喘息等のアレルギー症状、手足のしびれ、ふるえ、めまい、耳鳴り、筋力低下、脱力感、集中力や注意力の低下、物忘れ、レイノー、強張り、大腸過敏症、頭痛、関節痛これらの機能性身体障害の症状を下記の様に点数化すると、線維筋痛症患者さんでは圧倒的にスコアが高く、(慢性疼痛 8点±6点/31点 VS 線維筋痛症 22点±8点/31点)これらの点数の差が、両疾患の鑑別方法と提唱されています。

慢性疼痛と線維筋痛症との違いとは?
慢性疼痛と線維筋痛症との違いとは?

しかし、あくまで症候学的な点数を合算しただけで、画像検査や、血液検査等の客観的な指標が存在せず、慢性疼痛に身体機能障害(不安、抑うつ、倦怠感等)が重なれば線維筋痛症と結論づけられています。誰しも疼痛が慢性化すれば、不安や抑うつ状態になるものです。であれば慢性疼痛で心が病むと、皆、線維筋痛症の診断に至ってしまう為、疾患概念そのものの存在を否定する医師や学術論文が多数存在しており、世界的にも診断が確立していないのが現状です。
しかし実臨床の現場では疼痛で苦しんでおられる患者様を拝察しますと、診断名にこだわるよりも(診断は二の次で)、現状の痛みを何とか治療してほしいと希望される方が多く存在します。

慢性疼痛治療を専門としているペイン専門医はどういう治療をしているのでしょうか?

整形外科専門医、麻酔科専門医(ペイン専門医)と慢性疼痛治療

線維筋痛症に固執せず、慢性疼痛の患者さんとして診療に当たっているのがペイン専門医です。
治療は教科書的には日本ペインクリニック学会 神経障害性疼痛薬物療法ガイドラインに則って治療していますが、日本線維筋痛症学会診療ガイドラインと同様、治療薬はリリカ®第一選択とし、次に抗うつ薬脳内のセロトニン、ノルアドレナリンの濃度を高める向精神薬、弱い麻薬に分類されるトラムセット®を積極的に使用する事を提唱しています。両学会の薬物治療のガイドライン殆どと言っていい程内容に差は生じません

整形外科専門医、麻酔科専門医(ペイン専門医)と慢性疼痛治療

治療効果は血液検査や画像検査が指標にならない為、患者さん自身の痛みスコアだけで評価します。

慢整形外科専門医、麻酔科専門医(ペイン専門医)と慢性疼痛治療

ペイン専門医の治療でも効果が無い場合はどうすれば良いのでしょうか?通常の消炎鎮痛剤、上述の末梢神経細胞の興奮抑制に働くプレガバリン(リリカ®)ガバペンチン(ガバペン®)や、軽度の抗うつ薬脳内のセロトニン、ノルアドレナリンの濃度を高める向精神薬でも十分な治療効果が得られない場合はどうすれば良いのでしょうか?治療効果不十分であれば、より強度な向精神薬を使用する事となり、ただでさえ副作用の多く、また使用経験の少ない医師の下での向精神薬処方と患者さん自身の痛みスコアだけの評価で、治療が安全に管理遂行出来るのでしょうか?

逆を言いますと、副作用の多い向精神薬を安全に管理が出来て、使用経験を最も有する専門医とは??それは心療内科や神経科の専門医です。また、上述の通り、痛みが複雑化、慢性化してしまい、慢性疼痛の主原因である、脳内の情動記憶中枢である『紡錘状回(脳の後方)が活性化している状態』を鎮静化させる認知行動療法を指南してくれるのもやはり心療内科専門医や神経専門医と言えます。心が病んで無くても、うつ症状でも無く、うつ病で無くても心療内科専門医に掛かる必要性と根拠がここに存在すると言えます。

慢整形外科専門医、麻酔科専門医(ペイン専門医)と慢性疼痛治療

 

心療内科、神経科と慢性疼痛(線維筋痛症)の関係とは?

線維筋痛症は未だ原因は不明であり、機能性身体症候群と題して、慢性疲労性症候群、顎関節症、過敏性大腸症、低髄圧症候群等と新しい概念になりつつあります。これらの疾患を含めた病態には心理的ストレス、社会的ストレスが大きく関与しており、上記の薬物療法では限界のある患者さんに対しては、慢性疼痛の治療同様に、認知行動療法(痛みを意識しない為の心理療法)、運動療法(リハビリテーション)、カウンセリングが推奨されています。心身面でもサポートが大変重要であると言われ、心理面での治療が遅れる事で反って疼痛が増悪してしまい、より病状が複雑化、長期化する事が多いと言われています。心療内科専門医による治療の介入と、慢性疼痛に対する家族や配偶者、患者さん周囲の人たちの理解と協力も必須であります。

心療内科、神経科と慢性疼痛(線維筋痛症)の関係とは?

しかし一方で心療内科医の間でも、線維筋痛症は独立した病気では無く、心身症の一症状であると意見が分かれており、大半の神経科専門医は線維筋痛症の概念を認めず、慢性の痛みの原因は身体的ストレスが、『疼痛』として表出しているだけの、身体化表現性障害であると位置付け、神経科や心療内科の専門医の間でも、疾患の概念や診断治療に対する混乱が現在も続いています。

 

当院での慢性疼痛(線維筋痛症)に対するまとめ

線維筋痛症であっても、慢性疼痛であっても。身体表現性障害であっても、診断名問わず、治療がかなり重複しているのが現状です。消炎鎮痛剤やリリカ®やガバペン®トラムセット®での効果が十分で無い場合脳内セロトニン、ドーパミンを調節する抗鬱薬が治療の主体となります。一方で抗鬱薬の治療効果判定として、患者さん自身の痛みスコアだけで客観的指標(血液検査は画像検査)が無い為、薬の効果よりも薬の副作用が上回る事が無い様、薬の安全面での管理も非常に重要と言えます。

当院での慢性疼痛(線維筋痛症)に対するまとめ

治療効果が十分で無い頑強な疼痛に対してより強度な副作用の多い向精神薬を使用する場合の選択肢としては?慢性疼痛専門医は多く存在しませんが、抗うつ薬の使用経験を多く持ち、安全管理ができる心療内科専門医は多数存在します。また薬剤に頼らない認知行動療法、運動療法、カウンセリング治療も含めた医療が実践できる心療内科専門医への受診をお勧めします。

最近の話題 痛みを抑制する遺伝子が慢性疼痛患者さんには発現が低下していたとのお話。
慢性疼痛(線維筋痛症)患者さんの痛覚感受性にはCOMT(カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ)遺伝子(疼痛を制御するドーパミンの放出に関連する遺伝子)が関与しており、COMT遺伝子は下記の3タイプに分かれます。

当院での慢性疼痛(線維筋痛症)に対するまとめ

met/met型COMT遺伝子を持つ人は痛がりドーパミン放出量が少なく痛みを強く感じ易い。)
val/val型COMT遺伝子を持つ人は痛みに強いドーパミンが沢山放出、痛みを感じ難い。)
heterozygotes型COMT遺伝子を持つ人はその中間(ドーパミンが中くらい放出、痛みの感じ方が普通。)

慢性疼痛(線維筋痛症)患者さんはやはりmet/met型COMT痛がり遺伝子の人が顕著に多い結果となりました。
遺伝子レベルでも慢性疼痛の原因が解明しつつあると言えます。