医療法人 東永内科リウマチ科

大阪市東淀川区の 内科,リウマチ科(リウマチ,膠原病,骨粗鬆症)
医療法人 東永内科リウマチ科

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膠原病のお話後編


東永内科リウマチ科流 膠原病のお話 後編


当院の専門分野でもあります、膠原病についてのお話の後編です。前編はリウマチ=膠原病?何で膠原の病なの?病名の由来と、膠原病の分類のお話でしたが、後編は膠原病の治療と膠原病医学の最先端の話題について、東永内科リウマチ科流でお話します。
関節リウマチも含め、リウマチ膠原病領域の治療は革新の進歩を遂げてきました。30~40年前では関節リウマチの多くの患者さんが寝たきりになり、全身性エリテマトーデスなどの活動性の高い膠原病では、進行がんと変わらず5年生存率は40~50%であり、難病と呼ばれる由縁がここに存在しました。しかし医学の急速な進歩と共に、リウマチの寝たきりの方は最早消失した・・・といっても過言ではない程、生活機能の改善、骨破壊の予防が可能となりました。膠原病も5年生存率が95%以上と難病から寛解が十分得られる病となってきました。

このフリページでは、関節リウマチについては『リウマチのお話その2、その3』を御参照頂き、膠原病治療を中心にお話致します。膠原病の種類、登場する免疫細胞、症状、臓器障害、軽度~重度と患者さん個人個人で病状は異なり、それぞれ治療も異なります。

前回お話しました登場する免疫細胞の種類 免疫細胞の強さ、特異的な自己抗体の力価や強さ 攻撃する臓器の範囲 血管のサイズと血管の炎症の範囲 動脈か静脈か病状が急速に進行するか、ゆっくり経過するか、自然に軽快したり、軽症程度の悪化で済むか。これらの①~⑥の組合せの病態から治療法が決まります。この号では各病気それぞれの治療よりも、総論的に軽症 中等症 重症に分けて解説します。

大きな臓器症状は有さず、局所の症状の場合、予防的治療はせず、症状に応じた対症療法が基本となります。手が真っ白になるレイノー症状はビタミンEや血管拡張剤。限局的な紅斑や軽症の口内炎にはステロイドの塗り薬を。軽度の関節炎や血管炎には消炎鎮痛剤を用いて、原則ステロイドの飲み薬は使用しません。治療自体は継続する必要が無い事が多く、症状が改善すれば治療の終了も可能です。

局所病変でも上記の軽症治療で効果が無い場合や、症状が全体に拡散又は、臓器病変を有する場合を中等症とし、継続した治療が必要となります。局所でも難治性の関節炎や潰瘍形成を伴う血管炎、口内炎に加え、臓器病変が軽症であっても進行する可能性があれば少量~中等量(5~20mg/日)のステロイドホルモン剤、外来診療にて副作用管理が可能な免疫抑制剤 メソトレキセレート(メトレート®)や、タクロリムス(プログラフ®)を使用します。

破壊性関節炎 潰瘍形成の動脈性血管炎 無症状の間質性肺炎も進行する可能性の場合⇒中等量のステロイド剤

また活動性の高いリンパ球系疾患に対して、アザチオプリン(イムラン®)、ミゾリビン(ブレディニン®)、シクロスポリン(ネオーラル®)、ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト®)、シクロフォスファミド(エンドキサン®)等をこちらも外来診療で使用します。治療効果はありますが、個人差もあり薬の減量が出来ても、中止はなかなか難しい事が多く、薬の副作用のマネージメントと共に専門医による継続治療が必要です。

腎臓や肺、脳などの重大な臓器が広範囲にかつ急速に障害される場合、壊死性血管炎やサイトカイストーム(サイトカイン⇒免疫物質の嵐の如く、大量の免疫物資の放出に伴う臓器障害)などの重度の免疫異常の場合は絶対入院安静の上、長期に大量のステロイドホルモン剤強力な免疫抑制剤(シクロフォスファミド)大量の免疫グロブリン製剤(献血者からの血液製剤)を点滴注射にて集中的に投与したり、血漿交換(浄化)療法などに依り大量の免疫物質を短期間で除去し免疫をリセットします。

大量のステロイドホルモン剤や免疫抑制剤に依り、Tリンパ細胞の活性化、攻撃性の抑制、Bリンパ細胞に抗体を作らせない様にします。ステロイド剤に加えて免疫抑制剤を併用する事で、より威力を発揮します。重症患者さんに於いて嵐の如く大量の免疫物質(サイトカイン)の放出(⇒サイトカインストーム)に因り治療が間に合わない場合は、免疫サイトカインを大量に含んだ血液を血漿分離器で(血球は残して)抜き取り、その代わりに健常な人が献血などで提供してくれた正常の新鮮血漿に交換します。重症な程、大量の血液製剤を必要とします。

サイトカインの除去を目的とした血漿交換以外に、血漿分離器(カラム)をリンパ球や好中球の吸着分離器に変換して、活性化したリンパ球や好中球を除去する白血球除去療法や、臓器を傷害する特定の有害な自己抗体だけを吸着分離するカラムを用いた抗体吸着療法など血液浄化療法として様々な応用と発展がなされています。

関節リウマチ、全身性エリテマトーデス以外にも潰瘍性大腸炎やクローン病などの消化器系の自己免疫疾患や、乾癬性関節炎など難治性の皮膚疾患にも用いられます。副作用としては長時間の血液循環に因る低血圧や、それに伴う吐き気などに留まり、薬物治療に比べ副作用が少ないのが特徴です。
一方では治療費が大変高額であり、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、クローン病の様な国から医療費が支出される特定疾患以外では、保険診療でも患者さんの経済的負担が多くまた、白血球除去、免疫吸着以後もステロイドや免疫抑制剤は継続して必要な為、根本的治療とは言い難い状況です。

免疫抑制治療が奏功しても大量の薬剤を使用する為、患者さんの身体に負担が掛かる事も多く、使用する薬の副作用により(健常人が感染しない様な)ウイルスや真菌、カリニ菌、結核菌などの感染症や、肝臓障害、腎臓障害、骨髄抑制に因る血球減少、間質性肺炎などの危険性が高く、多くの全身管理が必要となります。

また、1日50~60mgの大量ステロイド内服に因る糖尿病  大腿骨々折や骨壊死 胃潰瘍 不眠や不安などの精神不安定などの副作用にも注意が必要です。副作用の予防の為の治療(糖尿病やコレステロールの薬、感染予防の薬、骨粗鬆症の薬、胃潰瘍予防の薬、安定剤や睡眠薬など) により、薬剤の内服は多岐に渡る事となってしまいます。治療は長期に及びますが、重症であっても病状が寛解し、継続して安定すれば、薬(特にステロイド剤)の減量と中等症で用いる免疫抑制剤の併用の下で、その後の病状の寛解維持は十分に可能です。


軽症、中等症、重症からの治療の区分けの次は・・・・

前号で登場した、疾患特有のリンパ球やマクロファージの登場から治療の区分けをしますと

リンパ球系グループ、 顆粒球グループ、急に悪さをする線維芽細胞グループに共通する治療薬はやはりステロイドホルモン剤です。リンパ球系グループには様々な免疫抑制剤に効果がみられます。特に関節リウマチや血管炎症候群に代表的なタカ派のヘルパーリンパ細胞やB細胞にはメトレート®(MTX)や、生物学的製剤を含めた免疫治療が大変良く効きます(各免疫抑制剤の作用機序と効能につきましては、新規更新の『リウマチのお話その3』を御参照下さい)。
仲介役の反乱 サプレッサーT細胞にはステロイド以外は効果が限定的で、免疫抑制剤(プログラフ®が有効)の効果には個人差があり、関節リウマチに絶大な効果のある生物学製剤に至っても、十分な効果が証明されていない状況です。

血管炎症候群を来す、好中球や好酸球はステロイドに良く反応しますが、好中球主体のベーチェット病の眼や関節の発作性病変の予防にはステロイドは余り効果がありません。血管炎症候群を含め、強い炎症反応の裏には司令官のヘルパーTリンパ細胞が後で手を引いている事が多い事から、メトレート®(MTX)や、生物学的製剤治療が大変良く効きます。特にレミケード®が世に出て、ベーチェット病のブドウ膜炎に使用される様になってからは、失明する患者さんが激減しました。青年~中年期での失明率の1位はなんとベーチェット病に因るブドウ膜炎なのです!

線維芽細胞などのゆっくりとした経過(強皮症の慢性期)に対しては、免疫反応が緩除である為、ステロイドを含め免疫治療効果は十分とは言えず、上述の軽症に準じた対症療法となります。しかし、これまで治療法がなかった、慢性的な症状に対する治療、例えばシェ―グレン症候群の乾燥症状に生物学製剤が奏功した報告など、これまで対症療法しかなかった辛い局所症状を改善する治療の進歩が期待されています。

関節リウマチ合併二次性シェーグレン症候群に対するアバタセプト(オレンシア®)ROSE試験の有効性と安全性

ROSE trial (Rheumatoid Arthritis with Orencia Trial Toward Sjoegren’s syndrome Endocrinopathy)

第58回日本リウマチ学会総会・学術集会 2014年4月24日~26日 
筑波大学医学医療系内科(膠原病・リウマチ・アレルギー)の坪井洋人先生は、関節リウマチ(RA)合併二次性シェーグレン症候群(SS)に対するアバタセプトの有効性が、多施設共同前向き観察研究の中間解析で
疾患活動性の低下、口腔乾燥・眼乾燥症状や唾液分泌・涙液分泌の改善が示されたと報告。

 

新聞にも掲載された最新トピックス

自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)の原因遺伝子の一つを発見-SLEの発症機構の解明や治療法の開発に期待-京都大学ウイルス研究所 藤田尚志教授が発見

全身性エリテマトーデス(SLE)のモデルマウスを通して、ウイルス感染した時に免疫細胞にセンサーが一時的に作動し警報を発令するのが、SLEでは免疫異常に因り常に警報が鳴り放し状態になっている事が判明。このセンサー異常を引き起こす遺伝子領域『MDA5』を世界に先駆けて発見したのです。

今後SLEの発症機序の解明に役立つ可能性や予防、診断、治療法の確立に寄与する可能性があることが挙げられた。また、ウイルスに対する免疫機構の破綻が自己免疫疾患を引き起こし得るという概念を直接的に証明することができたことも大変に大きな成果だと言われています。


如何でしたでしょうか?以上東永内科リウマチ科流の膠原病のお話後編でした。
次号は、『 リウマチ膠原病と妊娠 』を掲載予定です