医療法人 東永内科リウマチ科

大阪市東淀川区の 内科,リウマチ科(リウマチ,膠原病,骨粗鬆症)
医療法人 東永内科リウマチ科

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リウマチのお話その5(前編)


 

当院でのエコーガイド下ステロイド関節注射の取り組みと有用性(前編)


 

様々な研究会や学会にてステロイド関節注射の有用性を発表しておりますが、発表スライドを元に何故?に今ステロイド注射が必要なのかをお話します。

つい先日来院された35歳女性ですが、下記の様に関節エコーで超早期の段階で関節リウマチの診断がつきました。


足趾5番目の関節炎と骨びらん右手関節の橈側手根伸筋腱の腱鞘滑膜炎

早速ガイドラインに則りメソトレキセレートを投与するのですが、患者さんは足趾の痛みは我慢できても、理学療法士をされておられ手が使えないのは死活問題との事。今まで我々リウマチ内科医は薬が効くまで我慢して下さいと平然と言っておりました。

 

患者さんの社会的背景を考慮し、早い段階で痛みを取って差し上げるのもリウマチ医としては大変重要と考えます。飲み薬の効果が出るまで即効で痛みの治療をするならばやはり関節注射と言えます。

診断した当日に投薬とトリアムシノロン局所注射を足趾関節と腱鞘滑膜内に施行しました。翌日には腫れと痛みが引き、お勤めの仕事を休む事無く内服治療を続ける事が出来ました。

50名規模の小さな臨床研究ですが、2014年に早期の関節リウマチ患者さんに対して①従来の抗リウマチ薬群と②抗リウマチ薬+関節注射併用群の2群に分けて治療を行ったところ、リウマチの病勢の改善と生活機能改善度数が圧倒的に関節注射併用群の方が上回ったのです。

活動性が高い関節リウマチに対して生物学製剤を使用しますが、治療効果が不十分な患者さんにも関節注射の同日併用投与が大変有用です。

生物学製剤投与直前に関節局所注射を行い、薬剤の効果を最大限に引き出す、創始者の東京女子医大の神戸教授にも大絶賛頂いたK-Method療法を当院では積極的に行っております。

 

なかなか腫れと痛みが引かなかった関節炎が、生物学製剤との同日投与にて劇的に改善する例を多く認めます。

剃毛、アルコール綿消毒の上にイソジンの2層消毒を行い感染予防に徹底し注射を施行しております(当院では感染症合併例はゼロです)。

関節エコーガイド下での注射の方が有効か、それとも今まで通り経験で注射する方が有効かについては文献でも報告があり、関節リウマチの腱鞘滑膜炎にはエコーガイド下では有効であるが、2008年の報告では関節炎に対しては有意差が無いとの報告もありますが…

その3年後の2011年の文献の報告に於いては関節エコーを用いて関節注射を行う群とエコーを用いないで触診で関節注射を行う群とを比較すると…

関節エコーを用いた群が寛解患者さんが38%増加 非寛解患者さんが34%減少 穿刺時の疼痛が81%軽減され 医療施設の受診期間の延長が32% 年間の医療費平均の削減が64ドル(33%)有意に上回ったと良い事づくしで報告されていました。

患者さんに少しでも喜んで頂く為にエコーガイド下 関節内トリアムシノロン局注を積極的に行おうと決意したのは昨年偶然に目にした1本の論文がきっかけでありました。その論文とは…

OPERA Studyと言う中規模な臨床トライアルの報告です。生物学製剤とメソトレキセレート+関節注射の3つの組合わせ群90名と、生物学製剤を使用せず、メソトレキセレートと関節注射の2つ(炎症が引かない時はサラゾスルファピリジン追加)の群90名を1年間治療しますと…

当然圧倒的に生物学製剤群が勝利と思いきや、痛みの無い生活機能の維持と及第点の寛解条件の場合は、なんと有意差が全くなかったのです。厳しい2つの寛解基準にしますとやはり有意差がついてしまいましたが、生物学製剤+関注群VS飲み薬+関注群で75% VS 50%(DAS28CRP<2.6)60% VS 40%(CDAI<2.8)の結果に。

 

比率で見ますと丁度3:2となり、3人の生物学製剤を使用している患者さんの内、2人は生物学製剤を使用せず飲み薬と関節注射で同じ深い寛解を得る可能性があるという結論となります。オマケに1年の医療費が168万円 VS 6千円

生物学製剤の絶大なる効果は十分承知し、当院でも多くの患者さんに使用しておりますが、経済的理由で使用できない方、使用して実際に治療効果がでても高い医療費の為、心底から健康感や幸福感が得られていない患者さんを見るのも事実です。これらを少しでも解消する可能性があるのがトリアムシノロンの関節注射と考えます。

2016年12月にこの研究グループさらに1年延長し、リウマチの治療効果と骨破壊の進行抑制率を調査したところ…

関節注射とメソトレキセレート(MTX)併用治療にて生物学製剤(ADA➡アダリムマブ導入+MTX+関注)と厳しい寛解基準(DAS28CRP2.6未満 CDAI2.9未満)でも2年目に於いて全く有意差はありませんでした。

臨床的な厳しい寛解だけでなく、レントゲン上の変化を細かく観察し⊿ES➡骨ビランスコア ⊿JSN➡関節狭小化スコア ⊿TSS➡⊿ES+⊿JSNの総合スコアを付けて両群を比較したところ

驚くべきこちらも2年目の時点で僅かに骨ビランスコアが関節注射+MTX群にてやや劣るも…


(⊿ES➡骨ビランスコア ⊿JSN➡関節狭小化スコア ⊿TSS➡⊿ES+⊿JSNの総合スコア)

関節注射+メソトレキセレート(MTX)併用治療にて生物学製剤(ADA➡アダリムマブ導入+MTX+関節注射)とほぼ変わらない骨破壊抑制効果があると報告されました。

もう一つ大変興味のあるCIMESTRA Studyという論文がありました。2012年とちょっと古いですが、リウマチ治療薬単剤+関節注射と多剤+関節注射を比べて有意差が無くここでもステロイド関節注射の有用性を示しています。

興味のある報告として、ベタメサゾンの関節注射を最初に投与して指の指節間関節(2番目の関節)では約80%その他の関節では約60%が1回の注射で再燃しないとの結果に。

現在多くの論文で推奨している当院使用のより強力なトリアムシノロンであれば、もっと長期寛解が得られる可能性を考えます。実際に膝関節炎に於いてはデキサメタゾンよりトリアムシノロンが抗炎症効果と持続性が遥かに勝ったと報告されています。

・・・後半に続きます。