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...バリシチニブの全国講演会に参加 聴講して参りました!
トファシチニブに続き第2の経口JAK阻害剤として本邦で本年2月に認可され今秋にもリウマチ専門医の下で処方可能となります。リウマチ学会の重鎮の先生方が多数参加、講演されておりました。
まず最初は2016年のEULARリコメンデーションの制作メンバーでも
あります慶應義塾大学の竹内勤先生の御講演
リウマチ治療の臨床的寛解➡構造的寛解➡機能的寛解を目指す
如何に上手に抗リウマチ薬を使用するかが重要との事。
EULAR2013⇒2016の変更点としてはメソトレキセレ―ト(以下MTX)を早期診断後に早期投与としこれに加えてステロイドを少量短期使用可(経口、経静脈、筋肉内、関節内)となった点です。これで効果が無ければサラゾスルファピリジン(以下SASP)とレフルノミド(本邦では間質性肺炎の発症から殆ど使用されていません)を使用すべきと明記されました。
何故にあれだけステロイドの使用に否定的であった欧州リウマチ学会が少量短期でもステロイドの使用を認可したのか?
MTXとインフリキシマブ(以下IFX) VS MTX+プレドニゾロン(以下PSL)との比較臨床試験で臨床寛解にに差が余りなかったとの結論。メソ15㎎+PSL60㎎ 40㎎ 15㎎ の3パターンで投与するもこちらも3群で有意差無し(本邦ではリウマチにPSL60㎎と投与はあり得ないですが(-_-;)…)。PSLを大量に行く必要がないのが結論。PhaseⅠとしてMTX+少量PSL+SASPにて3か月で寛解に持ち込めない場合はPhaseⅡへ
抗CCP抗体やRFが高値であったり、骨びらんや骨破壊が早期に見られる予後不良因子を有する場合はバイオ製剤又はJAK製剤(以前はバイオがダメなら次にJAK阻害剤であった。)とJAK阻害剤の効果と安全性のエビデンスが出て来た為、JAK阻害剤の位置づけバイオ製剤の位置付けと同じになったとの事。PhaseⅡでも効果が無い場合はPhaseⅢに移行しバイオ製剤の変更を。
TNF製剤使用にて無効となった場合➡もう1回別のTNF製剤vsJAK阻害剤又はnonTNF製剤の臨床試験が行われた結果➡JAK阻害剤又はnonTNF製剤が上回ったとの事です。
続いてバリシチニブの作用機序について
産業医大の田中良哉先生の御講演
リウマチ治療の大進歩にてリウマチ患者さん全体の3分の2が寛解もしくは低活動性の状態に。一方で3分の1が高疾患活動性を制御できていない。この患者さん方をどうするか?これらが今後重要な課題であるとの話から始まりました。
バイオ製剤は分子量がデカい。因って点滴製剤や皮下注製剤に限られる。経口可能な強力な免疫制御をする低分子化合物は出来ないか…これらの難題に対して開発されたのがJAK阻害剤であります。
ここから少しマニアックですがJAK/STATシグナル伝達パスウェイにはJAK123とチロシンキナーゼが存在します。最初に開発されたトファシチニブはJAK1とJAK3を阻害し今回のバリシチニブJAK1とJAK2を阻害。欧州で認可されているベフィシチニブはトファシチニブと同様JAK1とJAK3を抑制します。
JAK3を抑制する事でIL-2、15、17の抑制と樹状細胞の活性化とB細胞の抗体産生を抑制します。バリシチニブはJAK1とJAK2に特異的に結合し、JAK3は結合しない。JAK2に選択的に結合する事でGM-CSF IL-6、IFNγの産生を抑制とされています。
JAK経路以外の細胞シグナル経路としてNF-κBとMAPKも存在しますが、これらに対する阻害薬として創薬の様々な研究がされましたが中々効果のある薬剤は誕生しなかったとの事。NF-κB、MAPKこれらの2つの経路に比較してJAK path wayはよりシンプルな経路の為、薬剤の効果が出易いのでは??とお話されておりました。
総論と基礎的なお話の後はバリシチニブ第Ⅲ相臨床試験の効果について同じく田中良哉先生から御講演頂きました。内部資料も含まれます為、今回は本研究が記載公表されております文献(NEJM)を紹介します。欧州と日本の大規模共同臨床研究であり多くの日本のリウマチ患者さんも含まれています。
論文の冒頭には御講演された田中良哉先生が代表責任者として掲載されております。年齢やリウマチの病状、罹病期間、性別の偏りなくプラセボ群(MTXのみ)488例とバリシチニブ4㎎+MTX群487例、アダリムマブ40㎎+MTX群330例の3群に均等に振り分け52週間の治療効果を判定する大規模臨床試験であります。
治療効果としてはバリシチニブ+MTX群が早期に治療効果(ACR20)を認め持続した結果に。リウマチの活動性のコントロール(DAS28-CRP)、生活機能の改善(HAQ-DI)、厳しいリウマチ寛解基準(SDAI)の全てにおいてバリシチニブ使用群が有意に病状の改善を認めました。
骨破壊の抑制効果(レントゲンでの骨破壊の進行度)、骨びらんの抑制効果、軟骨浸食の抑制効果もバリシチニブ投与群を有意にその効果を認めました。ここまでですとバリシチニブとMTX併用にての治療効果がかなり期待できそうです。しかし今回の参加のきっかけとなった当院の使用検討中の患者さんは副作用でMTXが内服できません。様々な副作用でMTXを服用できない患者さんが少なからず存在する事よりバリシチニブ単独での効果は?
こちらの文献も本講演で発表された慶應義塾大学の竹内勤先生が代表者と掲載。こちらも年齢やリウマチの病状、罹病期間、性別の偏りなくMTX単独群210例とバリシチニブ4㎎単独群159例、バリシチニブ+MTX併用群215例の3群に均等に振り分け52週間の治療効果を判定する大規模臨床試験であります。
治療効果としてはバリシチニブ単独群↓では予想以上に治療効果(ACR20)、リウマチの活動性のコントロール(DAS28-CRP)、生活機能の改善(HAQ-DI)、厳しいリウマチ寛解基準(SDAI)の全てにおいてバリシチニブ+MTX群に遜色無いほどが有意に病状の改善を認めました。
しかし骨破壊の抑制効果(レントゲンでの骨破壊の進行度)、骨びらんの抑制効果、軟骨浸食の抑制効果はバリシチニブ単独群がバリシチニブ+MTX併用群より劣る結果となりました。52週での軟骨浸食は有意差は無いもののMTX単独群より高い??(◎_◎;)傾向に。しかし全体的な結果で言いますとバリシチニブ単剤でも十分効果が出ていると言えます。
最も重要な安全面はどうでしょうか?
東京女子医大の針谷先生からバリシチニブの安全性について御講演頂きました。
当初JAK阻害剤は悪性腫瘍の合併が多いのでは?と言われていましたが、トファシチニブの最終解析では他の生物学製剤と変わらずバリシチニブに於いては現状はより少ないとされています。
一方ではトファシチニブのと同様帯状疱疹ヘルペスのリスクが日本人では大変高く(外国の5~6倍)、対応策として帯状疱疹ワクチンは存在しますが生ワクチンの為免疫治療中の患者さんは使用できず、来年度に不活化帯状疱疹ワクチンが発売されるとの事でこちらに期待したいところです。
(JAK阻害剤の詳細は当院HPにも掲載しております➡http://www.touei-clinic.jp/original30.html)
その他、海外と比較しますと日本人の場合は現在使用中の生物学製剤と同様に感染症の発症率や肝機能障害、間質性肺炎の発症頻度がやや高く、治療前に感染症の十分なスクリーニング検査と危険因子として慎重投与とされる元々貧血や白血球が少ない人、憩室炎や深部静脈血栓症の既往者、腎障害を有する患者、易感染性の人、結核の既往患者さん、特に間質性肺炎の既往患者さんを十分管理する事が大変重要であるとの事でした。
現状はリスクよりもベネフィットが十分上回る薬剤と考えられ、今後は市販後調査としてリウマチ専門医の管理の徹底の下で難治性のリウマチ患者さんに対し良好な治療成績を更に証明していきたい…との事で本講演会は終了となりました。個人的に大阪人としましてはやはり御薬の御値段がめちゃ大事かと(-_-;)…。
番外編
長丁場の講演会が終了し、多くの先生方は自由参加の情報交換会の会場に移動する中、変わり者?の私は会場の近くに位置するフィットネスジムに向かいました(^_^;)。持病の左膝に負荷を掛けてあまり痛まず、『練習だけでもラグビー参加できるんちゃう?』を目標に暇さえあればトレーニングに励んでおりました。特に下肢の筋力トレーニングを目的にジムに向かうと…
何にもないやん( `ー´)ノ!!ポツンとランニングマシンとバイクマシンが2台ずつあるのみ(T_T)…。流石に今からこのジャージで懇親会には参加出来んし(-_-;)。仕方ないのでランだけをする事に。KONAMIのマシンより設定がずっと速い??60分を時速10kmで走っただけでヘロヘロに。汗だくで短パン&ノースリーブのジャージでジムを出てエレベーターホールに向かうと・・・懇親会を終えた多くの先生方が集結(◎_◎;)。
知ってる先生に会わない様にタオルで顔を隠してそそくさとその場を退散しました(+_+)。