医療法人 東永内科リウマチ科

大阪市東淀川区の 内科,リウマチ科(リウマチ,膠原病,骨粗鬆症)
医療法人 東永内科リウマチ科

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リウマチのお話その5(後編)


 

当院でのエコーガイド下ステロイド関節注射の取り組みと有用性(後編)


 

前編の続きですが、2016年12月パブリッシュされた関節注射にまつわる臨床試験の論文を紹介します。その名もNEO-RACo trial』でステロイドの関節注射を外来主治医がネグレクトする事で患者さんのリウマチ寛解率や生活機能に大きく影響すると言う報告です。

患者さんの関節の痛みにどう対応してくれるか(痛みを有する関節病変にキチンと介入しステロイドの関節注射を行ってくれるか)患者さん自らが医師を採点し、ステロイドをネグレクトする主治医には受診の度に公平な一定の条件を設けてマイナスポイントをつけていくと言う大変ユニークな臨床試験です。勿論医師が採点されている事は伏せて診療して貰います。

『関節注射をキチンとしてくれる医師青色➡』 『まあまあしてくれる医師黄色➡』 『全然してくれない医師赤色➡それぞれ採点した点数の合算を3群に分けその各群で治療された患者さんのリウマチの病状を評価しますと…

関節注射にて対応する青色➡評価群と黄色➡評価群では厳しい寛解基準(NEO-Raco Remission)平均で約80%に達していました。一方で関節注射をネグレクトする赤色➡評価群ではNEO-Raco Remission達成率が『青色➡黄色➡評価群』の約半分に留まり、有意に寛解率が低く、生活機能も大きく低下する結果となりました。

レントゲン検査では骨破壊病変には統計学的な有意差は出ませんでしたが、関節注射をキチンと対応する青➡評価群が最も破壊が少ない傾向となりました。

痛みで困っている患者さんに関節注射をネグレクトする事で生活機能を低下させるだけで無く、リウマチの寛解率までもが大いに低下する。トリアムシノロンの関節注射は古き手法であるが大変安価(⇒因って全く儲けにはなりません(^O^)/…いや消毒と滅菌ゼリーとエコー専用の穿刺針で丸々赤字かも(-_-;)…。)で経済的である。

そして、大変有用な治療方法ある事より、関節注射をネグレクトせず今後もリウマチ必須治療法の一つとして積極的にするべし!と結論づけていました。

下記患者さんも右肩が完全に挙上困難でしたが、飲み薬のリウマチ治療薬の追加と関節内トリアムシノロンの投与にて劇的に可動域が回復し同時に血液所見も改善! 

『ステロイド』と言うだけで=怖い副作用…と言うイメージを持つ方が多くおられるかと思いますが、リウマチ膠原病専門医として他の医師に比べて遥かにステロイドの使用経験を有すると自負しており、由ってステロイド関節注射の副作用も十分に熟知した上で使用しております。

先程の臨床試験では関節注射後のレントゲン検査にて骨破壊の進行について有意差は出ませんでしたが最近の知見では、関節内注射を行うことで骨破壊の進行が停止すると言う論文も見られるようになりました。

160人のリウマチ患者さんを80人に分けて、関節注射+メソトレキセートのグループと関節注射+メソトレキセート+もう2剤抗リウマチ薬(合計3剤)を加えても治療成績は同じであったとの事。つまりは関節注射が治療に入っていると多剤を使わなくてもリウマチに効果があると理論づけております。又、最初の2年はレントゲン上、少し骨破壊が進行しましたが、3年目以降は骨破壊が停止したと報告(@_@)。

結論として関節注射施行5年後の段階で、TSS(関節隙狭)はベースラインからX線上では47%が進展しなかった。MTX+GC関節注射による早期及び厳格な滑膜炎の抑制療法は5年目に寛解率を高め 骨糜爛の進行を止める。MRI-骨髄浮腫の所見、TSS(関節裂隙)狭小化の既存、抗CCP抗体は5年間でX線での進行の予測因子と考えられた…と結論。関節注射で介入にて骨破壊が止まると明言しておりました(@_@)。

当院では関節の痛みや可動域の改善 関節エコー画像による評価だけでなく、レントゲン写真を用いて、抗リウマチ薬(+生物学製剤)+関節注射にて関節破壊の抑止が出来ているか定期的に評価を行っております。

当院でも抗リウマチ薬、生物学製剤と共にトリアムシノロンの関節注射を始めて約2年半が経過しておりますが、投与前と比較して骨破壊が進行していないか臨床調査中です。

2017年12月に当院のリウマチ治療の屋台骨でありますK-Method療法を考案された東京女子医大 教授の神戸克明先生の新しい論文が発表されました。

生物学製剤+トリアムシノロン関節注射の同時に併用群 VS 生物学製剤単剤の2群に分けて治療を行った所、治療を行った翌日(グラフの赤)にもうリウマチ寛解の評価(DAS28 CRP)に有意差が出ました(◎_◎;)。勿論本論文の最終ゴールの24週の時点でも有意にK-Method療法群がリウマチ寛解評価が全て上回りました。

生物学的製剤とトリアムシノロンの関節内注射の同時投与療法は、RAの生物学製剤の切り替えを行う場合に効果が素早く得られ大変有用で安全な治療法である。・・・と結論付けております。

当院の患者さんもK-Method療法にて短期間で病状が回復しその後は長期間安定した良好な経過を辿る患者様がたくさんおられます。

骨破壊の進行抑制だけでなく、滑膜肥厚の退縮➡可動域の改善にもつながっております。また生物学製剤を使用する事で関節軟骨の修復や骨糜爛の改善も時に見られます。

疼痛除去だけではなく、関節破壊の予防、関節機能寛解を目指してトリアムシノロンの関節注射の併用療法の効果を当院の臨床研究に於いても今後明らかにして参りたいと思います。

ステロイドの関節注射に因る腱断裂や骨破壊、関節内の感染を懸念する多くの医師が存在するのも事実ですが、『投与する量』、『投与する頻度』、『投与する関節の選別』、『投与する前の消毒の徹底』これらを十分考慮 実践する事で懸念材料は解消すると考えております。

数々の論文で関節リウマチのスペシャリストになるのであれば関節注射は絶対必須の重要なスキルであると提唱しています!

整理しますと、エコーガイド下トリアムシノロン関節注射の投与目的として
①関節の痛みをとり生活機能を改善する。
②リウマチの活動性を抑え深い寛解に導く。
③抗リウマチ薬と併用にて骨破壊の進行を止める。
④高騰する医療費の自己負担を軽くする。


整形外科専門医の先生方からお墨付きも頂けましたので今後も当院に於いて細心の注意と適応関節を見極めて、エコーガイド下でのトリアムシノロンの関節注射を行って参ります。