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...6月24日に京都で開催のSalirumab全国講演を聴講して参りました
5月中旬から6月入っては毎週毎週講演が重なっておりましたが、講演ばかりでは知識も身につかないので 今度は聴講側に回り当院でも処方し良好な治療経過を辿っております新薬Salirumabが本邦8番目の生物学製剤として本年2月に発売され、その最新情報テンコ盛りの全国講演会が京都で開かれ参加聴講して参りました(^_^)/。
電車に乗り継ぎ新大阪から新快速に揺られ京都に到着。大変良いお天気であり、思わず京都観光に行ってしまいそうでしたが(^^;)ここは気持ちを切り替えいざ会場へ…。到着しますと全国から400~500人(◎_◎;)?のリウマチ専門医の先生方が集まっておりました。講演の最初は松原メイフラワー病院 リウマチ科 堤聡先生から、『サリルマブを安全に使用する為の注意点』の講演がありました。サリルマブはトランスジェニックマウスを用いる技術を使って野生型に近いマウスを使用した抗体製剤であり完全ヒト型で(トシリズマブはヒト化抗体で抗体先端のCDR領域がマウス由来)膜結合IL-6受容体と可溶性のIL-6受容体の両方に結合しADCC活性(抗体依存性細胞障害性を有さない薬剤で…
投与2週でDAS28CRP、血沈が2週➡4週で速やかに改善を認めたとの事。高齢者への投与例が多かった事より血球減少や血小板減少を認め(副作用報告では2~3%)一旦休薬し、血球回復後は常用量の200㎎→150㎎へ減量投与後は血球減少の再燃も無く良好に経過。高齢の場合は血球減少により注意が必要で好中球減少で1000個未満を危険水域として投与して暫くは2週毎にモニターするのが重要で、血管壁に好中球が接着し残存していることもあり実数値よりも多く体内には残存しているとコメントされました。
続いて住友病院リウマチ内科部長の角田慎一郎先生から『サリルマブの実臨床の期待』について講演がありました。住友病院の投与症例としましては当院の症例と同じく4週で関節症状軽快。かなり高いCRP値も2週で陰性化し、リウマチ評価でありますCDAIも8週で低下。重要なのはSalirumabの血中濃度とMMP-3の関連、SalirumabのIL-6受容体への親和力との事。Salirumabの200㎎投与では30.5で±16.9 VS Salirumab150㎎投与では16.9±10.4と投与量50㎎の差でトラフ値は2倍以上の開きが(◎_◎;)…。トラフがキープできるのと有効血中濃度上昇が3日程度で起こる観点から、副作用が無ければ200mg投与が望ましく、この早期の至適濃度の達成が早期の薬剤効果の発現と関連しているのでは?と御話しされました。また、トシリズマブと比較してIL-6受容体への親和性が高くこちらも効きが早い理由の一つと御話されました。
最新の文献の報告に於いてもメソトレキセート非併用の状態でのアダリムマブとサリルマブのガチンコ対決した最新の論文を紹介。結果的にはサリルマブに軍配があがり、特徴としますとこの文献に於いては4週から8週の早期の段階で治療効果がみられ、やはりこの文献でも従来の抗IL-6受容体製剤と比較しても効果発現が大変早い印象です。またメソトレキセートの非併用状態であってもACR50の達成期間が大変早く、達成率が大変高くて…
今後メソトレキセートが使用できないADLが低下しうる高齢CRP高値のリウマチ患者さんに是非使用したいところですが、論文の年齢層が50歳代と若いのとリウマチの病状評価に骨破壊の目安となるX線検査が含まれていないのが少し残念でした。頻度の多い副作用としましては他のバイオと然程変わらないが実臨床では少し感染症が多い印象との事。その一つとして感染症のステルス化➡CRPがマスク➡症状が気付くの遅れる場合がある(当院でもCRP0.1㎎/dlで肺炎を発症➡対応が早かったので軽症で治癒)。また一方で先程の堤聡先生の報告にありました様に白血球(好中球)の減少の副作用が多いがそれに比して感染症は少ない…
好中球は抹消血中だけでなく肝臓 骨髄 脾臓 血管内皮にくっついて待機しており それにより抹消の絶対数の減少でなく好中球プールの移動なので感染症や肺炎が少ないと考えられているとの事。しかし早い段階で血球減少をモニターし休薬減量に因り重篤な副作用の回避が重要と御話しされました。またIL-6そのものには肝庇護作用があるが IL-6阻害薬を使用する事で肝再生機能を低下させる事から肝障害の発症に留意する事。そしてIL-6は直接腸管に作用しないが軽度の腸炎や憩室炎等にて腸管損傷時にIL-6がその修復に関与していると考えられ、IL-6阻害剤ではこれを阻害する事によって腸管障害や腸管穿孔を助長するのでは??と御話しされました。その他注射部位のアレルギー反応はよりヒトに近い完全ヒト型なので比較的少ない結果に。
(秋田大学医学部 病理病態医学講座HPから抜粋) (千葉大学大学院医学研究科 粘膜免疫学HPから抜粋)
その他NTT西日本病院 副院長 リウマチ膠原病内科部長の緒方篤先生からは、IL-6の基礎免疫学の御話しと(ちと難しいのでこちらは割愛(^^;)させて頂きます。)トシリズマブと同様に感染症の管理やリウマチの病状評価としてCRPは判断材料に使えずコンポジットメジャーとしても使用できない。CDAI MMP-3が評価に重要である。良い点とすればメソトレキセートの併用 非併用に差はあまりないが一方でバイオフリーが難しく寛解後は中止よりも減量が望ましいとの事。その他として脊椎関節炎 乾癬性関節炎といった血清陰性型脊椎関節炎には効かないと御教授頂きました。
最後は東邦大学膠原病内科 教授の亀田秀人先生からSalirumabの有効性を示した国内外臨床試験を数多く紹介して頂けました。国内としましては『KAKEHASHI試験』と『HARUKA試験』の結果を通してSalirumabの有効性と安全性について御教示頂きました。
①メソトレキセート+プラセボ ②メソトレキセート+Salirumab150㎎ ③メソトレキセート+Salirumab200㎎を比較検討した試験でこちらも当然ながらプラセボよりも圧倒的にSalirumabの勝ちでありますが、ACR50とACR70の改善ではSalirumab150㎎群とSalirumab200㎎群では有意差が無く、血中濃度とIL-6受容体抗体の親和性と血中濃度のトラフ値からの有効性を考えるともう少し差が出ては…と思っておりました所…
海外第Ⅲ相臨床試験でありますMOBILITY試験では…
(Genovese MC et al.Arthritis Rheumatol 2015;67(6):1424-1437から改編)
①メソトレキセート+プラセボ ②メソトレキセート+Salirumab150㎎③メソトレキセート+Salirumab200㎎の3群の骨破壊抑制試験の比較に於いては… Salirumab200㎎群 が骨糜爛、関節裂隙狭小化、トータルシャープスコア(糜爛+狭小化)を有意に抑制し他群と比して全て勝る結果となりました。効果が早く骨破壊の進行を予防し得るSalirumabの効能に今後も是非期待したいところであります(^_^)/。
その他盛沢山の内容でしたが、時間と体力の都合上(^_^;)全て記載できませんので以上にて新薬サリルマブの新着情報レポートとさせて頂きます。当院のSalirumab投与患者様も副作用は特に見られず経過良好で、聴講しました本公演内容を明日の実臨床に早速生かし、該当患者様がおられましたら是非ともSalirumabを導入して参ります(^^)/!