医療法人 東永内科リウマチ科

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骨粗鬆症の治療と最近の話題


 

...神戸市長田区主催の骨粗鬆症連携を考える会にて講演して参りました

長らく一緒にラグビーをして参りました神戸市長田区の野瀬病院 野瀬範久先生と長田区医師会からオファーを頂き骨粗鬆症についての講演を1時間ほど御話しして参りました。私の前に御話し頂いた同院 薬剤師の原先生から日本に於ける大腿骨頚部骨折患者が減らない現状と、日本で兵庫県が骨粗鬆症骨折のワースト3と不名誉な結果となった事等を御話しされました。
   
偉くもありませんが、今回は『特別講演』として招聘頂きました(^_^)。長田区医師会の内科の先生方25名?と野瀬病院様の骨粗鬆症リエゾンサービスチームの方からその他の医療スタッフと合わせて70名も御参加頂きました。講演の冒頭では野瀬先生との出会いからラグビー談話と話しが進んでしまい(^^;)講演の主旨が変わりそうになりました。
   
長田区の内科の先生方は『骨粗鬆症は整形の領域』と思われている方が多く、骨粗鬆症の権威の蛯名耕介先生が『これからの骨粗鬆症は内科医も是非参画すべき!』とのコメント持ち出し、骨粗鬆症診療での内科医の今後の役割について御話しました。高価なDEXAの機械を有さずとも現在クリニックにて所有する医療機器で十分、無症候性 骨粗鬆症患者さんを発見し救える事を力説しました。
   
骨密度は日本骨粗鬆症学会の2015年のガイドライン通り、第2中手骨で診断可能であり、最も重要なことは骨密度に依存しない『いつのまにか骨折』を発見する事。当院でも学会発表して参りました多くの日常診療での隠れ骨折症例が存在しその典型例を紹介。又胸腰椎X線検査の評価やピットフォールについても解説いたしました。
    
骨密度 胸腰椎X線評価以外に骨代謝マーカー(骨吸収 骨形成)、VitD活性 Ca代謝の評価も重要であるとコメントしました。尿中Ca/尿中クレアチニン比の測定は大変簡便で感度が高く、当院の症例で放置していると多発骨折に至る可能性のあった隠れバセドウ病を尿中Ca検査で発見できた事を紹介。又続発性(2次性骨粗鬆症)の鑑別についても御話ししました。
   
その他骨密度が正常なのに骨質が不良である為に骨架橋に異変が生じて骨折する病態や悪玉アミノ酸であるホモシステインの関与、悪玉アミノ酸を解毒する為にビタミン12や葉酸を摂取してメチオニン化やビタミンB6にてシステイン化する事で骨折抑制が可能である事についても御話しました。
   
実際に実臨床で重症の『いつの間にか骨折』がどれほど多く存在するか?一昨年の日本骨粗鬆症学会で発表した自験例を紹介。4人に1人が重症であり年齢、ホモシステイン UCOC値 骨密度のMD法にて有意差がついた事も報告しました。如何に臨床の場で大腿骨々折予備軍が多数おられ、それを高価な医療機器等のコストを掛けず発見可能かもお話しました。
   
もう一つ骨質マーカーとして重要な低カルボキシルオステオカルシン(UCOC)の代謝経路と蓄積に因る悪影響、ビタミンKによる改善を御話し、少しでも患者さんに『内科クリニックでの骨粗鬆症診療』を満足頂く為 解かり易い胸腰椎X線の患者さん向けの評価レポートの紹介も行いました。
   
骨密度(MD法)➡胸腰椎X線➡骨代謝マーカー➡ビタミンD+Ca代謝➡骨質マーカー➡総括と今後の治療方針…これらをまとめて明文化しファイルに入れて差し上げる事で患者さんの満足度と薬剤の服薬継続率、検診受診率が上昇すると御話しました。クリニックの現存の医療資源を十分活用する事で『患者さんに喜んで頂ける』骨粗鬆症予防診療が可能となるにも関わらず、こられをきちんと実施している医療機関が全国でたったの3%未満(◎_◎;)の状態。長田区医師会の内科の先生方にこの実施率の数字を是非共に上げて欲しいと御話ししました。
   
また、自験例でありますがPPI(プロトンポンプ阻害薬)を内服している患者さんに脊椎骨折変化が多かった事を報告。文献的にはPPIの服用に因り消化管からのCaの吸収が低下し骨粗鬆症の病態を招く事を解説。又骨粗鬆症治療薬の服用率の低さの問題点と医師に代わって骨粗鬆症リエゾンサービスの力がこれらをカバーし解決しうる事も御話しました。
   
『骨粗鬆症 評価編』に続いて治療編に講演は移りました。いざ骨粗鬆症の治療が開始となりますと、野球の試合に例えてビスフォスフォネート製剤が先発ピッチャーとして有力なりますが、何故に各BP薬剤に於いて作用機序が異なるかを直球投手と変化球投手に例えて説明し各薬剤の特性や医療コスト 療成績についても解説しました。

ピッチャービスフォスフォネートも5回(5年)投げると球威(効果)について評価が必要であり連投させるか、ピッチャー(薬剤)を代えるかの判断には基幹病院と連携してDEXAによる腰椎 大腿骨々密度の測定と自院での腰椎X線の椎体高の変化にてグレード進行の評価 、骨代謝 ビタミンD+Ca代謝の総合評価が大変重要であると解説しました。ピッチャーの交代となりますと…

 

長期に渡りビスフォスフォネート製剤を使用しますと(先発投手が投げ続けますと…)効能が低下する(球威が落ちる)か、腎機能障害(投球中のケガ)等にて使用できない場合はBP剤を休薬し次のピッチャー(薬剤として)活性化ビタミンD製剤へのスイッチ又は併用かSERMへのスイッチが挙げられます。
   
SERMの適応の解説とステイロイド骨粗鬆症に対して効果は未だ証明されていない事、血栓症の既往者は使用禁忌である事 男性には使用できない事、お姉キャラに効果があるかはガイドライン上の記載に無いので使用は待機…のネタに結構ウケました(^_^;)。中継ぎからセットアッパーへスイッチする場合は骨形成促進のテリパラチドが望ましく、阪神ファンとしてはセットアッパーとしてマテオ選手にしたいのですが…最近の投球では…すぐ降板…ネタも結構ウケました(^-^;)。
   
テリパラチドは腰椎に於いて完璧に近い状態で重症脊椎骨折を抑制しますが、問題点として長期投与にて骨芽細胞活性化➡破骨細胞の活性化➡皮質骨の多孔性が亢進➡皮質骨々密度減少の可能性があり特に高齢者の長期処方に於いては注意が必要と御話しました。クローザーとしてはデノスマブを大魔神佐々木選手に例えて解説。剛速球(海綿骨)と変化球(皮質骨)の両方を有す特性薬剤と解説。
   
セットアッパー➡クローザーと逆にクローザー➡セットアッパーと入れ替えた時に腰椎 大腿骨 前腕骨の骨密度の推移はどうなるか?文献的にはやはりテリパラチ➡デノスマブ方が成績が良かった事を報告。又ビスフォスフォネート製剤と比してもデノスマブは腰椎 大腿骨の骨密度が有意に上昇した最新の論文も紹介致しました。又長期使用しても(8年以上)破骨細胞の過剰抑制を来す事無く腰椎20%、大腿骨が7%増加した文献も報告。最近の文献ではデノスマブ投与が10年継続可能とのこと。
   
RANKL抗体製剤であるデノスマブの作用機序として骨芽細胞が放出する破骨細胞の活性化因子であるRANKLが破骨前駆細胞の受容体RANKに結合する前に阻止し破骨細胞の分化誘導、活性化を抑制する過程をイラストとアニメ-ションを織り交ぜて解り易く解説しました。また本年の日本抗加齢医学会総会でも発表しました、クローザー(デノスマブ)の当番が遅れると最大6%骨密度が低下する当院の自験例と最新の文献も報告。
   
デノスマブはマルチに効く大変いい薬ですが、副作用として低Ca血症が挙げられます。特に中等度以上の腎不全には注意が必要で低Caを来すメカニズムとその対処方法についても解説しました。又もう一つ問題となるのが治療の中断。デノスマブにより凍結されていた破骨細胞が治療を中断する事で氷が解けて活性化すると殺虫剤の冷凍フマキラーに例えて解説。
   
休薬により氷結が溶けて破骨細胞が活性化するとリバウンドでオーバーシュート現象(破骨細胞お祭り現象…勝手に名付けましたが(^_^;))が起こり、腰椎、大腿骨、前腕骨と2年で積み上げた骨密度の増加が半年から1年の間に投与前の基準値以下まで激減してしまう(◎_◎;)文献を報告。病状的に中止が已む無しの場合は他の骨粗鬆症治療薬に必ずスイッチしいきなり急降下させずパラシュートの様にソフトランディングするべきとコメントしました。
   
最も重要な副作用として問題視されているのが顎骨壊死です。科学が日進月歩しても未だ原因は解明されておらず仮説に留まる状態であり先日の『骨粗鬆症を語る会』で聴講した兵庫医科大学の浦出先生のお話の内容も紹介しました。抜歯以外でもビスフォスフォネート製剤の服用に因り歯根が押し上げられ歯が抜け➡顎骨壊死、BP剤服用中に歯周病➡感染➡顎骨壊死と抜歯以外でも起こり得ることも報告して参りました。
   
本邦と海外での抜歯頻度の違いと、薬剤の骨髄内の移行率により顎骨壊死の発症率が異なる事、いざ発症してしまうと治癒率(根治率)はたったの35%!? で60%以上は治らず難治性で慢性化してしまう事も報告。重要なのはやはり発症を予防する事でこれまで文献的に有用とされてきた様々な予防方法を提起しました。骨代謝の改善、CaVitD代謝の改善が出来てもやはり運動習慣、生活習慣の改善は必須であり、この3つを揃えて初めて骨折予防が成り立つとコメント致しました。
  
最後に野瀬病院の野瀬範久先生の『院長のご挨拶』のホームページをジャックし1日院長として無理やり掲載(^_^.)、副院長にウチのソラちゃんも無理やり就任させました(^_^;)(これがまた大変ウケました)。ピッタリ1時間で発表が終了。多くの建設的質問を頂き、今回参加された多職種の方々から『大変解り易くとっても面白かったです!』と大変多くの賛辞を頂けました(^_^)/。ドクターからパラメディカル、一般の方まで幅広く対象を広げたスライドだっただけに、作成にはかなり時間を費やしました…(T_T)。聴講して頂いた皆様に御満足頂けてとても良かったです。御参加頂いた皆様 ご清聴ありがとうございました<(_ _)>。