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第21回日本骨粗鬆症学会にて発表して参りました!(前編)
今回の学会発表時間は土曜日の夜の発表でしたので、当日は午前診察を休診にせず診療できると思っておりましたが...強烈な強風と豪雨の巨大台風19号が迫ってきており、スタッフの通勤の安全面を考慮し泣く泣く休診に。当日朝はさほど雨風無く、あぁ~外来診察で来たなぁ~と思いながら午後1時自宅を出発。大雨で万が一の交通機関の運休を想定し元往診車の軽自動車で出発しましたが…
高速道路に入った頃から雨風が急に酷くなり、横殴りの風に煽られひっくり返りそうな状況に加え一時は雨で前が見えない程に(◎_◎;)。ヒヤヒヤの状態で何とか会場に到着(*_*;)。台風の影響で発表や出席が出来なかった先生方もたくさんおられた様で、ポスター会場も閑散としておりました。
本当は午前中にポスター添付する様になっておりましたが、台風の影響でまだ到着されていない先生や交通機関の停止で已む無く演題取り消しとされた先生方も多くおられたとの事でポスターボードの空欄が目立っておりました。ガラガラでしたが発表するのに意味がある!とせっせとポスターを貼り、もうそろそろ貼り終える頃に後ろで何か人の気配を感じ振り返りますと10人近い先生方が早速わたくしのポスター閲覧(◎_◎;)されておりました。
今回は一般演題として754演題が採用されその内 ロモソズマブについての演題発表が10程あり、内7つが口演で3つがポスター発表でした。口演発表は7分間でスライドの提示時間が短く、一方でポスターは貼りっぱで長い時間掲示できる事と、複数の症例発表は私だけだった様で13例報告からロモソズマブにどれだけ骨密度増加効果があるか御興味持たれた先生が多く集まって下さった様です(^^)/。掲載ポスターをスマホの写真にガンガン撮って頂き、また熱心にメモを取って頂いたり、長い時間閲覧頂き誠にありがとうございます<(_ _)>。
幾つかのセッションを聴講し、発表の午後6時前にポスター会場に到着。6時丁度に開始となりましたが座長の龍野一郎先生を含めました数名の寂しい状況でのスタートとなりました。しかし徐々に先生方が集まりだしました。セッション1時間の中で6演題あり、私は最後の6番目で発表 質疑応答で1人の持ち時間が10分弱でしたが…皆さん発表時間が短く、6時50分~の発表が6時40分前には私の出番が来ました。気が付けば30名以上の先生方集結(◎_◎;)され、チョイとプレッシャーの中で発表が開始となりました。
第21回日本骨粗鬆症学会にて発表して参りました!(後編)
学会発表のルールとして当然ながら持ち時間の10分間を守るべきでありますが、最後のセッションの最後の発表であり いつもの『スライド作り過ぎ病』の為 時間内に終了しなくては(-_-;)…とかなり早口になる傾向が、今回は余裕をもって発表する事がができました。今回の臨床調査の目的と方法を述べ、13例の患者さんの背景から発表を始めました。
ロモソズマブの発売が3月であり保険診療上 骨密度の測定が4カ月に1回しか測定できない為 短期的な報告となった事も説明いたしました。9月に日本リウマチ学会近畿支部学術集会にて発表した6例に原発性骨粗鬆症7例を追加し、ステロイド骨粗鬆症の症例や早期閉経にて若年でありながら顕著な低骨密度症例を具体的に紹介。
またロモソズマブの投与に至った経緯やスイッチ時の服薬状況、特に当院に無治療で転医された3例が相当な低骨密度で易骨折性の病態(◎_◎;)から直ちにロモソズマブを導入した事も報告。一方で自院でビスフォスフォネート製剤を投与するも骨密度が増加せず、漫然処方を避けるべくロモソズマブにスイッチした症例も報告しました。
結果としましては13例が重症骨粗鬆症の病態でありながら全例が6か月以内の無症候性椎体骨折の進行を認めず、若年者で低骨密度の症例に於いて4か月間で腰椎骨密度が13%と爆発的に増加(◎_◎;)した事を報告。一方でステロイド骨粗鬆症の予防としてプレドニゾロン10mgとロモソズマブを併用した症例では残念ながら腰椎の骨密度が殆ど増加しなかった事も報告しました。
大腿骨近位部も頚部同様の結果で、個人差はあるものの若年者で4カ月で近位部5%頚部6%と従来の骨粗鬆症治療薬と比較して破格の増加を認めた事を報告。一方で腰椎と同じくステロイド骨粗鬆症の症例には全く増加しなかった事もお話しました。ビスフォスフォネート製剤既往群6例と非既往群7例に分け比較検討しますと腰椎骨密度では有意に非既往群が上昇し、大腿骨に於いては有意差はないもののやはり非既往群が増加率が多い傾向にあった事を報告しました。
骨代謝マーカーとしてBAP(骨性アルカリフォスファターゼ)を骨形成マーカー、TRACP5b(酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ)を骨吸収マーカーとして採用し、ロモソズマブ投与にてBAPが有意に上昇し TRACP5bが有意に低下し同剤が骨形成を促進させ骨吸収を抑制し骨代謝の両面に作用してている所見が認められた事も報告しました。
副作用としては有意なものは認められず、今回は13例全例に於いて腎機能が正常から軽度の低下範囲内であるも12例にビタミンD製剤の予防投与を行い、2例に無症候性の軽微な低Ca血症が認められカルシウム製剤を補充し、1例に無症候性の軽度の高カルシウム血症を来しアルファカシドールを中止した事を報告。考察として最も有名なロモソズマブの大規模臨床試験でありますARCH試験とほぼ同様の結果➡腰椎平均5.7% 大腿骨近位ぶで1.7% 同頚部で1.97%増加し良好な骨密度の上昇が得られた事を報告しました。
また、ビスフォスフォネート製剤投与6年後にロモソズマブとテリパラチドとスイッチし比較検討したSTRUCTURE試験を考察の文献として採用。ビスフォス服用後は伸びしろが無さそうであるも腰椎大腿骨の骨密度の上昇が見られた事、文献と比較し本調査のビスフォス既往群で骨密度の上昇がやや低かった事も報告。脳梗塞既往患者にロモソズマブは慎重投与で当院の脳梗塞既往例には現在特に有害事象を認めていない事も報告しました。又腎機能正常でも血清Ca値のモニターと病状にてVitDやCa製剤の追加の必要性、経過良好であるも注射時の疼痛にて1例投与中止に至った事も報告しました。
最後の考察として今回ステロイド骨粗鬆症の予防として1例と言えどもロモソズマブを投与するも骨密度の上昇が認められなかった事に対しマウスの実験ではステロイド骨粗鬆症にロモソズマブの有効性が示されるも、関節リウマチやリウマチ性多発筋痛症患者にステロイドを投与したところ寧ろ血清スクレロスチン濃度が低下する報告や、ステロイドの投与にてスクレロスチンが低下しているにも関わらず骨形成マーカーが低下し骨吸収マーカーが上昇するという逆転した変化があった文献も報告。今後も症例の蓄積が必要とし無事終了しました。多くの先生方に聴講と御質問を頂き、易骨折性の方に正しく安全にロモソズマブが投与され骨折予防が出来る様祈念しレポートを終了と致します<(_ _)>。座長の龍野一郎先生色々とご配慮いただきありがとうございました<(_ _)>。。