医療法人 東永内科リウマチ科

大阪市東淀川区の 内科,リウマチ科(リウマチ,膠原病,骨粗鬆症)
医療法人 東永内科リウマチ科

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リウマチのお話その1


 
【前編 リウマチの原因 診断について】
2012年10月から医療法人東永内科リウマチ科として診療を新しくスタートする事になりました。今回は当診療所での専門疾患でもある『関節リウマチ』のお話です。前編ではリウマチの語源や原因、遺伝子素因、初期症状、診断基準やその問題点などイラストを交えてわかり易く解説します。

関節リウマチの語源
リウマチと言う言葉は「流れ」を意味する「rheuma(リューマもしくはロイマ)」というギリシア語に由来していると言われています。古代ギリシアでは、手足の節々が痛む病気は、脳から悪い液体が流れ出しそれが体の中を『流れて』関節に溜まり、痛みを慢性的に発生していると考えられていました。
以前までは慢性関節ロイマや慢性関節リウマチと言われていましたが、リウマチ治療が大きく進歩し適切な治療を受けるにより『慢性化』しないで進行が止まり良くなる人が沢山見られる様になった為、慢性関節リウマチの病名表記が現在の関節リウマチという病名表記に変更されました。

関節リウマチのお話1

関節リウマチの原因

関節リウマチはなぜ起こるのか?その原因については、未だに不明な点が多く明らかにはされていません。関節の滑膜という組織に慢性的な炎症が起こり、関節に痛みや腫れが生じる病気です。一般的な炎症とは、体の一部が様々な原因で障害を受けた時、悪いものを攻撃し、それを修復しようとして働く反応です(通常の免疫反応)

しかしその攻撃と修復過程において、外傷、強いウイルス感染や化学物質、環境ストレス、紫外線、遺伝的素因(家系)等、何らかの刺激が引き金になり、免疫過剰に働いてしまいます。攻撃や修復の度が超え、相手を間違ってしまい、関節の『滑膜』に対して破壊や変形を起こしてしまいます(自己免疫反応)。さらに過剰になると攻撃相手を関節だけに留まらず、肺や肝臓、腎臓など重要臓器、または全身の血管を攻撃し炎症を引き起こしてしまい、場合に因っては難病に至るケースも極々希にあります。
 

関節リウマチのお話1
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上記の課程で、攻撃や修復の度が超え、相手を間違ってしまい『自己免疫反応』が起こります。本来ウイルスや細菌、ガン細胞から生体を守ってくれるはずの免疫細胞の一部が暴徒化し、下記の様に、関節の『滑膜』に対して攻撃、破壊を繰り返します。この病状が進行する場合や、治療に難渋する場合において関節の変形や骨破壊、機能障害を来してしまいます。

関節の仕組みと関節リウマチの関節

関節リウマチのお話1
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関節リウマチと遺伝子

白血球の遺伝因子の1つとして、白血球組織適合抗原(白血球の血液型の様なもの)でHLA-DR4という遺伝因子を持つ人に発症が多いと言われています。また遺伝子医学の進歩により、関節リウマチ発症のカギとなる責任遺伝子が東京大学や理化学研究所の共同研究により発見され、より原因と治療方法が究明されつつあります。しかし関節リウマチの遺伝子を持っていても必ず発症するとは限りません。

全く同じ遺伝子を持つ双子(一卵性双生児)では、片方にリウマチが発症しても、もう一方で発症する確率は20~30%と言われ、親子での遺伝的発症となると確率はさらに低下し10%以下と言われています。近親者や親がリウマチであったしても、必ず子供に遺伝するものではありません。やはり環境素因が重要と言えます。
 

関節リウマチのお話1

関節リウマチの疫学(患者数や病状の統計)
関節リウマチの頻度は世界的に見て人口の0.5%~1.0%(平均0.8%)といわれ、日本ではおよそ70~80万人の患者さんがいると報告されています。性別では男性に比べて明らかに女性に多く認められています(男性の3~4倍)。また喫煙者にも多いとも言われています。発病年齢は、大半が20歳~60歳代で、30~50歳代での発症が多くなっています。比較的珍しいですが、80歳などの高齢発症の関節リウマチや、10歳前後の小児関節リウマチも存在します。

関節リウマチの主な初期症状
(1)朝、関節がこわばって動かしにくく、いつもの状態に戻るのに1時間以上かかる。
(2)複数の関節が熱を持ち腫れて痛む。腫れや痛みは左右対称に起こる。
(3)(1)、(2)の症状は、手指の小さな関節に起こりやすい。※下記イラストを参照
(4)関節症状が出る前に、疲労感、微熱、食欲不振、体重減少など「過労」のような症状が続くこともあります。

関節リウマチの診断
リウマチ医学は、特に治療学においては格段に進歩していますが、診断学はまだ十分ではありません。新しいリウマチ検査『抗CCP抗体』が定量する事により診断はより進歩しましたが、絶対的、即刻的な確定診断方法は現段階では存在しません。未だ、アメリカ/ヨーロッパのリウマチ学会の診断基準表に照らし合わせ、下記の様な関節病変、関節炎の持続期間、血液検査の結果などの点数の寄せ集めの評価で10点中 6点以上を関節リウマチと確定診断をしています。

関節リウマチ診断の新基準(2009年 アメリカ 欧州リウマチ学会 策定 一部改編)
【関節病変】
(1) 中・大関節に1箇所以上の腫張(腫れる)または疼痛(痛む)関節がある 0点
(2) 中・大関節に2個以上~10個未満の腫脹または疼痛関節がある 1点
(3) 小関節に1個以上~3個以下の腫脹または疼痛関節がある 2点
(4) 小関節に4個以上~10個未満の腫脹または疼痛関節ある 3点
(5) 少なくとも1つ以上の小関節全体に10個を超える腫脹または疼痛関節がある 5点


【血清検査】
(1) リウマチ因子、抗CCP抗体ともに陰性⇒ (血液中にリウマチ抗体が存在しない) 0点
(2) リウマチ因子、抗CCP抗体の少なくとも1つが陽性で低力価⇒(検査の値が低い) 2点
(3) リウマチ因子、抗CCP抗体の少なくとも1つが陽性で高力価⇒(検査の値が高い) 3点


【関節炎(滑膜炎)持続期間】
(1) 症状の経過が6週間未満である 0点
(2) 症状の経過が6週間以上である 1点


【血液検査での炎症マーカー】
(1)血液検査でCRP、血沈ともに正常である (血液中に炎症反応が見られない) 0点
(2)血液検査でCRP、血沈のいずれかに異常がある (血液中の炎症反応を認める) 1点
 
上記のスコアの合計が6点以上である場合は関節リウマチ確定と診断
※表記用語 大関節 : 肩関節、肘関節、股関節、膝関節、足首の関節。
      小関節 : 指の第2関節、指の付け根の関節、手首の関節
      ※下記イラストを参照

日本リウマチ学会での早期関節リウマチの診断基準もありますが、風邪で節々が痛くても関節リウマチの診断になってしまい、また診断に役立つ抗CCP抗体が含まれておらず、現状としては、上記の診断基準に従い関節リウマチを診断します。

 (現在日本リウマチ学会の新診断新基準が策定中です)。


日本リウマチ学会が定めた早期関節リウマチの診断基準(1994年)
(1) 3つ以上の関節で、指で押さえたり動かしたりすると痛みを感じる
(2) 2つ以上の関節に炎症による腫れがみられる
(3) 朝のこわばりがみられる
(4) 皮下結節(リウマトイド結節)が肘や膝などにみられる
(5) 血液検査で赤沈に異常がみられる、またはCRPが陽性である
(6) 血液検査でリウマトイド因子が陽性である
上記の6項目のうち、3項目以上にあてはまる場合を早期関節リウマチとします


関節リウマチの発症初期に痛みの起きやすい手、指の小関節

関節リウマチのお話1
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軽症関節リウマチの早期診断における問題点

軽症の関節症状を訴え来院された場合、関節リウマチの典型的な人は少なく、まさに千差万別の経過を辿ります。『この症状、この検査でリウマチ確定』だとか、『この症状、この検査結果なら大丈夫です!』とはなかなか言い難いのが現実です。異常な検査値(リウマチ因子強陽性や、抗CCP抗体陽性)でも自然に良くなる方もいれば、検査値異常が無いのにどんどん関節症状が悪化する人もいます。また体に『内臓のガンが存在』し、それにより関節リウマチの様な症状を呈する場合も時々見られます。消炎鎮痛剤では症状がなかなか改善せず、リウマチの特殊な薬を使用する事で症状が改善し、治療効果から関節リウマチと漸く診断がつく場合も珍しくありません。

関節リウマチのお話1

医療機関によって、『あなたは手の使い過ぎです』と言われたり、『あなたは関節リウマチの予備軍です』とか、『あなたのリウマチは内科の異常から来ているのでは?』と様々な診断が下り、患者さんが困惑されるのも現状です。より早期により確実に診断する為、関節超音波検査や関節MRI等の画像診断も急速に進歩してきています。


当院でも、日本リウマチ学会が推奨する、最新型の関節超音波検査器 東芝Viamo。を採用しています。触診を含めた診察所見や、血液検査、X線撮影、MRI検査でも診断が難しかった早期の関節リウマチの診断に威力を発揮します。正確なリウマチの滑膜肥厚の評価と、カラードップラー法による詳細な関節炎の評価が可能で、診断がつかない関節炎の鑑別から、関節リウマチ治療の開始時期の決定まで大変役立つ存在になっています。

当院の関節超音波検査器 東芝Viamo
関節リウマチのお話1
カラードップラー法による関節炎の検出
右手 第2指 中手指節関節炎 左手 橈骨手根関節炎
関節内の滑膜肥厚と滑膜炎、腱消滑膜炎を正確に評価
(右手 第2指 中手指節関節炎) (左手 橈骨手根関節炎)

医学の急速な進歩と共に、もはや関節リウマチで寝たきりになる時代は終わり、薬は必要であるが、健常な状態で生活できる『寛解』の現在から、『治る』未来の時代へ変遷しつつあります。治療方法も大変革、劇的に進化を遂げより多くの人がその恩恵を受ける事が出来るようになりました。『関節リウマチその2』の 後編では関節リウマチ治療の最前線についてのお話です!